六番目の小夜子
津村沙世子―とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。
高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。
三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。
そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。
学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。
それがいつ始まり、誰が始めたのかは、正確にはわからない。
しかし、それは、三年に一度、必ず行われるのだ。
それは、他愛のないしきたりだった。なんの意味もない。
それをしたからといって、どこかで表彰されるとか、栄誉を与えられるとかいうわけではない。しかし、それでもその「行事」は行われた。
「サヨコ」になる者は、「サヨコ」自身と、その「サヨコ」を指名する、前回の「サヨコ」しか知らない。
次の「サヨコ」は、前回の「サヨコ」がいる代の卒業式当日に引き継がれる。
在校生が卒業式に花束を渡す時に、あるメッセージが次の「サヨコ」となるべき者に手渡されるという。
それを受け取った「サヨコ」は、「サヨコ」になることを承知したという証拠に、四月の始業式の朝、自分の教室に赤い花を活けなければならない。赤い花が活けられた瞬間から、その年のゲームはスタートするのだ。
「サヨコ」のすべきことはたった一つ。
年にただ一つだけである。
それさえ誰にも自分が「サヨコ」であることを悟られることなくやりとげれば、それがその年の「吉きしるし」であり、その年の「サヨコ」は勝ったのだ。
私たちの卒業する年、その年は「六番目のサヨコの年」と呼ばれていた。
そして、それは、あの、不思議な暗喩に満ちた、恐るべき一連の出来事を引き起こしたのである。
「六番目のサヨコの年」。
その四月の始業式の朝、この物語は始まる。
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恩田 陸
六番目の小夜子
あらすじ
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『六番目の小夜子』へのレビュー
「学園祭実行委員会」。
どこの学校でもありそうだが、その実行委員会が主催する学園祭が物語の雰囲気を押し上げる。
ネクロポリスでも使われているが、「六番目の小夜子」でもこの「百物語」の手法が登場する。
1つの部屋に集まった人々が百本のロウソクを点し、一人づつ怪談を話し終える度に一本ずつ火を消してゆき、最後の一本が消える時真の魔性が現れるという、あの遊びだ。
人間は過去、様々な祭りを行ってきたが、その1つの起源はこの「百物語」であったのではないだろうか。
原始的な祭事とは、これまた幻想的な祭事である。
投稿者 shoulder : 2006年02月05日 20:10




